仙台高等裁判所 昭和27年(う)205号 判決
(イ) 本件取引の目的物は銅線約百五十貫という大量のものであること、銅線は通常市場には出ない筈のものであること、本件銅線の受渡しに被告人が立会つており、その受渡しの時刻は午前三時頃であり、その場所は附近に人家のない堤防であること、その堤防のトラツクを停めた所から約三十米も離れた叢の中から、取引相手方が銅線の把を運んできて、トラツクの運転手にはその積込みのみをさせたこと、その間トラツクのライトは全部消させていたこと、そのトラツクの運転手が盜品らしい物を運搬した旨警察に届出でたものであることが認められる。しかも、被告人は取調官に対し、取引に当り、山とか野原に置いてある品物なら駄目だと相手方に念を押した旨弁解しているのである。これらによれば、被告人は、銅線受渡しの際には、少くとも、不正品ではないかとの疑念を抱いた事実を肯認するに足りる。
(中略)
(ロ) 原判示「買受け」とは、所論のように、売買契約の締結を意味するものではなく、売買契約を締結してその目的物の引渡を受けることを意味するものである。
(中略)
(ハ) 売買契約当時賍物であることの情を知らなくとも、之が引渡を受ける際、その情を知るときは、賍物故買罪は成立するのである。従て、所論のように、本件売買契約の際、賍物であることの情を全く知らなかつたとしても、既に、前記の如く、引渡を受ける際その情を知つていたと認定される以上、被告人の罪責に何等の消長を来すものではない。
(後略)